ほやほや
よちよち
よだれもダラダラ
涙もぐちょぐちょ
1歳9か月
正真正銘立派な赤ちゃん。
ママいま、君を食べちゃいたい。
赤ちゃん、食べたい。甘いから。
くんくん薫るミルクのにおい君のよだれはいつだってトロトロで
君の泣き声は芳しくて香ばしい
首のお肉のたわみ具合
お腹や足のぽよんぽよんな感触
わたしをみて花咲く満面の笑顔
マシュマロボディの天使かよおい。
赤ちゃん、食べたい!
思わずそう言ってしまいたくなる
どこをどうとっても君と過ごす時間は
この上なく甘く濃厚な毎日の連続なのだ。
赤ちゃん、食べたい。しょっぱいから
毎晩続く夜泣きにわたしまで泣きたくなる替えても替えても足りないおむつに
急な熱発にドタバタあたふた
汗っかきの君の服はあっという間にびっしょびしょ。
世知辛い世の中も相まって
二人なのに一人のような毎日をお互い一緒に過ごしたね。
君の涙、わたしの涙
わたしと君の時間は幾度となくしょっぱい。
だからこそ癖になったのかな?
君を食べちゃいたい。
手がかからなくなった今そんな塩辛い思い出が恋しくもなるの。
君が大好き~食いきれない思い
二人で顔を合わせて笑う甘い時間も理由も分からず右往左往しながら泣いたしょっぱい時間も
すべてすべてが味になる
君の人生を丸ごと丸飲みにして守ってあげたいけど、
それができないのが歳食う親の宿命です。
君が大好き!
ママは君を時に叱るし、時に突き放す
全力で味方だけど、人生を楽してすり抜ける答えは何も教えてあげないよ。
君はたくさん社会に噛まれ、痛み、飲み込まれながら人生を踏ん張り、そして楽しみなさい。
甘い匂い
しょっぱい思い出
噛みたくなるような肉付き
コロコロケラケラと笑う軽やかな笑い声
日々満腹で食べきれない
濃厚すぎて満腹で
それでも足りない気持ちを残しながらママは君と今を過ごしています。
おわりに
どんなに可愛くてもどんなに愛おしくても
我が子の成長の最期をわたしたち親は見守ることができません。
わたしと我が子だけの世界であったはずの乳児期もあっという間に終わってしまいました。
子供は子供ながらに自身のコミュニティを少しずつ作っていきます。
いずれは自分の力で生きてゆくしかない。
可愛いが故に厳しくしてしまう気持ちは親になって知りました。
育児は楽しいことばかりではない。膨大なタスクを前に今も奮闘中です。
すべて難なくこなせるよう守ってあげたいけど、自力でたくましく伸び伸び育つ方がもっと嬉しい!
母の気持ちはこっそり凝縮。君のすべてが旨味成分
想いをひっそり噛みしめながら
わたしは息子を見守るのみです。
ほんのすこしセンチメンタルな深夜
改めて息子には、人生の酸いも甘いもたくさん経験してほしいと感じた母なのでした。